ねっちりとした今日までの時間

ラブライブ!シリーズやその他のことについて書こうと思います

「Wish Song」の話

 こんにちは、ネッチです。

 

 先日Liella!の挿入歌シングル「常夏☆サンシャイン/Wish Song」が発売になりまして。

 

 今回はWish Songについて少し書いてみようかなと思います。一言で感想を述べるなら「(想いが)デカすぎんだろ...」です。

 

 

 

受け継いだ想い

 このWish Songがアニメ内で登場したのは学園祭に関する騒動が終結した後の、学園祭のステージ上でした。

 

 歌詞や振り付けを見るからに恋ちゃんをイメージした部分があるのは明らかかなあと。例えば

消えないように 震えながらキミが

握りしめてたもの 一緒に守るよ

この部分はかのんちゃんが歌っているわけですが、母の遺した学校を存続させようと、不器用ながら尽力していた恋ちゃんを手助けしようとするかのんちゃんないしは4人の姿がイメージできると思います。

 

 他にも、

キミにはもう涙は似合わないよ

これですね。キャストさんも随所で仰ってますが、かのんちゃんが恋ちゃんの涙を拭うような仕草の振り付けがなされていて、「もうそういうことだろ」という感じで。

 

 で、これらのことから、Wish Songは「恋ちゃんに寄り添う4人の歌」という風に捉えることができるのかなと思うのですが、それだけじゃないのでは!?というのが今回のお話。

 

 第8話内で、神宮音楽学校の生徒たちが過ごした奇跡のような時間や花さんの想いが明らかになりました。その想いに結ヶ丘の生徒が気づいたことで学園祭が開催に至ったのだろうな、と。実際理事長に中止にするぞゴラァと脅されていたし。

 

 神宮音楽学校から受け継いだ想いを踏まえての学園祭ライブだったと思うと、Wish Songの歌詞もまた違って聴こえてくると思うのです。

 

すぐそばで 笑いあうだけでかけがえない瞬間になる

 

 「かけがえない瞬間」であることに気付くタイミングっていつだと思いますか?

 

 僕は「その瞬間を失った時」や「失わずとも後になって振り返った時」なんじゃないかな、と思います。

 

 今がその瞬間である場合、ありがたみを感じることって難しいと思うんですよね。今”ある”のだから。だからこそ、かけがえない、他のもので代用できない、ということに気付くのは振り返った時が多いんじゃなかろうかと。

 

 じゃあ、Liella!の5人にとって今がその振り返っている時なのか、というと、半分そうで半分そうではない気がします。

 

 5人の日常生活のスケールで考えると毎日の登下校、授業中、放課後の練習、休みの日のお出かけ、そういった5人で過ごす日常がかけがえない瞬間なんだと歌うことはできると思います。

 

 一方で、ラブライブ!スーパースター!!という作品として捉えるスケールでは、スクールアイドル活動ができる限られた時間はかけがえのない瞬間なんだ、と気付くのはラブライブ!優勝や高校生活を全うした最後など、何か大きな事を成し遂げた後なんじゃないかなと思うのです。

 

 ところが、Liella!が先代のスクールアイドルと少し異なるのは、神宮音楽学校の学校アイドル部が遺した物語を受け取っているという点です。

 

学校でアイドル活動を続けたけれど、結局学校はなくなることになった。
廃校は阻止できなかった。
でも、私たちは何1つ後悔していない。
学校が1つになれたから。
この活動を通じて、音楽を通じて、みんなが結ばれたから。
最高の学校を作り上げることができたから。
一緒に努力し、一緒に夢を見て、一緒に一喜一憂する。そんなキセキのような時間を送ることができたから。

ラブライブ!スーパースター!!第8話終盤、神宮音楽学校アイドル部Diaryより

 

 まるでAqoursが最終的に見つけた答えのようですが、Liella!はこの想いを”言葉”で受け取っています。

 

 作品として大きな視点で考えると、この言葉が5人にとって、本当の意味で実感できるようになるのはもう少し先のような気もします。(こんなこと言ったら失礼かもですが)

 

 それでも5人がこれまでの日常生活で得た経験を基にこの言葉を解釈して感じ取った想いは間違いなくあるだろうし、その想いを胸にWish Songを歌っていると思います。

 

いつの日か聴いた希望のメロディが

すばらしい今をつくったの

 

 そう思うと、Wish Songが神宮音楽学校の生徒たちへの感謝や憧れの表現、そして結ヶ丘設立に至らしめた想いへ報いるための歌に感じられるのです。

 

確かめあう ここに立ってる幸せなときめきを

みんなの声で 続いてくストーリー

 

 そして、この曲は「どんな時でも 勇気をくれるWish Song」なんです。勇気がもらえるのは、5人がみんなの願い(Wish)を受け取って、背中を押されていると感じるからなんだろうなと。

 

 

遠い夢

 もう1つ思ったことは、この曲の歌詞がイメージしている到達点って随分遠いところにありそうだな、ということ。

 

もう無理だと思っても

前を向けばほら 夢は遠くで

待ってる ずっと

 

 「前を向けば」というのは「もう無理だと思った」時に下を向いているということなのでしょうが、その時に「夢は遠くで 待ってる」なんですよね。「夢はすぐそこにある」じゃないわけで。

 

 この1節からWish Songは具体的に見えるほど近づいてきた夢について歌っているというよりは、神宮音楽学校の生徒たちの物語を受け取り、漠然と高みを目指そうとする5人の気持ちが歌われているように思うのです。

 

 そこにはやっぱり「始まったばかり(第9話より)」だからこそ、神宮音楽学校の生徒たちが辿り着いたような高みに自分たちも到達できるだろうかという不安みたいなものも含まれている気がします。だからこそ勇気をくれることに意味が生まれるんだろうなと。

 

 

さいごに

 Wish Songみたいなエモい曲って、言葉遣いが抽象的で解釈がふんわりしていることが多い気がします。なんかエモいことは伝わってくるけども!みたいな。

 

 その場合、曲が生まれた背景や歌い手の心情を想像すると歌詞の解釈に深みが生まれるのかなあと、今回の執筆を通して思いました。

 

 今回はここまでにいたします。最後までご覧いただき本当にありがとうございました。ではでは。

 

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