こんにちは、ネッチです。
この記事は虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のアニメ第12話についての感想記事となっています。本稿はアプリ「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」のストーリーに関するネタバレを含む場合がありますので予めご了承ください。
さて、第12話は真・上原歩夢回とでも言うべき回で、ようやく同好会全員の足並みが揃ったという感じですね。
全体的な構成としてはスクスタのキズナエピソードと同じように、ファンの声援によって自分のスクールアイドルとしての意義を認識したり、それに加えて侑ちゃんからの「変わらぬ想い」を確認できたことでもう一度夢に向かって歩き出した、という感じでしょうか。
第11話の衝撃が強かったこともあって、どうやって歩夢ちゃんはもう一度歩き出すようになるんだろう、ということが気になりすぎて、最速放送の時にはどこか理性的に歩夢ちゃんの心情の変化を捉えていたので、見終わった時には「なるほど」という感想だけが真っ先に出ちゃいましたね。
それでも、何度か見返していく内に、第三者目線というよりも歩夢ちゃんの視点に入り込んで心情を共有して見るようになっていって、後になってじわじわ噛み締めていました。
そんな中で、個人的に気になった部分について今回も書いていこうと思います。
普通の女の子
歩夢ちゃんの夢ってなんだろう、というのは私がここ最近の記事で書いていたことで、ずーっと考えていることではあったのですが、なんとなく歩夢ちゃんの夢というのはこれから先もはっきり描かれることは無いのかも、と思うようになりました。
アニガサキでは第1話で、せつ菜ちゃんやその他のスクールアイドルの動画を見て、自分の気持ちを真っ直ぐ伝える姿や、衣装を含めたその輝く姿に魅了されてスクールアイドルをやってみたい!と思ったことを侑ちゃんに話していました。
また、第2話の自己紹介動画を撮るシーンでは、自分の好きなこと、やりたいことを表現したくてスクールアイドル同好会に入った、と話していました。
ただ、これらの歩夢ちゃんの言葉は、歩夢ちゃんが好きなこと、やりたいこと、伝えたいことはあっても、その内容自体が何なのかということを教えてくれるものではないように思います。
アニガサキに限らず、スクスタでも夢に向かって一歩一歩歩んでいく、とは言うものの、その夢が何なのかが明示されたことは私の知る限りでは無い気がしています。
そこで、ふと思ったのが歩夢ちゃん自身の「夢」は実際には(まだ)存在していないのではないか、ということです。
そして、「夢に向かって」というのは、「今存在している夢を実現するために」ということではなく、「夢が見つかることを期待して」という意味なのではないか、と。
そう考えると、これまでスクスタやアニガサキで歩夢ちゃんが「夢」を明確に表現したことが無かったのも頷けると思います。無いのだから話しようがありません。
それに、自分のことを「普通の女の子」と表現する*1のも、特徴的な夢を持っていないことから来るものだと考えられそうです。*2
また、今回第12話においてせつ菜ちゃんとのこんなシーンがありましたね。
せつ菜「大好きな気持ち。でも、結局やめられないんですよね。」歩夢「!」
せつ菜「始まったのなら、貫くのみです!」
歩夢「(止めちゃいけない、我慢しちゃいけない。)そうだね!ありがとう!」
第12話中盤、せつ菜と歩夢の会話*3
大好きな気持ち。それを貫け。そういうことだと思うのですが、歩夢ちゃんが明確な夢を持っていないのだと考えると、スクールアイドルを始める動機であった「好きなことを表現したい」「自分に素直になりたい」という”気持ち”だけで、歩夢ちゃんにとってはスクールアイドルを続ける理由として十分なものなのだと思えてきます。
だからこそ、せつ菜ちゃんのこの一言だけで、歩夢ちゃんは心を動かされたのかもしれません。
答えはまだ分からない
ED直前の歩夢ちゃんの独白について。
歩夢「何気なく過ごしていた頃からは、想像もつかないほど、目まぐるしくて、でも、楽しい日々。私達の答えはまだ分からないけど、一緒に歩いていこう! これからも、ずっと!」第12話終盤、歩夢ちゃんの独白
まずは最初の一文からいろんなことが想像できそうだなあ、と思いました。歩夢ちゃん(と侑ちゃん)は、同好会に入る以前は何気なく過ごしていたと思っているんだなあ、とか、同好会に入ってからは目まぐるしい日々を送っていたんだなあとか。
あまり描かれていなかったように思いますが、彼女たちは高校生なのでもちろん一日の内のかなりの時間は授業を受けて過ごしているだろうし、宿題だって毎日課されているかもしれません。
そういった同好会に直接は関わってこない部分のタスクも彼女たちは毎日こなしているだろうし、その合間の時間をぬって同好会での活動に励んでいる、という感じでしょうか。
アニガサキ自体はスクールアイドル同好会のアニメなので、同好会活動に関する内容が多く描かれるのはまあ当然ですけど、だからと言って彼女たちの人生はその描かれた瞬間にしか存在しないわけではないでしょう。
私達がアニメを通して彼女たちの物語を知ることができたのは、全体のほんの一部でしかないのかな、とは思いますが、それでもこうやって1つ1つの言葉から映像として描かれていない部分にも思いを馳せることはできますよね。
そして、この独白の2文目の「私達の答えはまだ分からない」について。
私だけなのかもしれませんが、最初の内はなんとなくスルーしていたものの、よくよく考えてみると「?」となったんですよね。
まず、「私達の」と言っているので「私=歩夢ちゃん」の答えでは無いと考えていいのだろうとは思います。
そうすると、「歩夢ちゃんと侑ちゃん2人に関する何か」に対する答え、が見つかっていない、と。
「2人の関係性」に対する答え、というような気はするのですが、どうもしっくり来ない気もします。お互い望んでいる方向は違っても変わらぬ想いは2人の間にあり続ける、ということで答えは出ているように思うんですね。
じゃあ「答えはまだ分からない」とはいったいどういう意味なのか?
私が現時点で考えているのは、ここで言う「見つかっていない私達の答え」とは「私達の関係の在り方に対する絶対的な正解・真理」というような意味なのではないかと思っています。
つまりは、2人が出した「変わらぬ想いを確認する」という答えは、この先お互いの認識がブレる可能性があるかもしれないしこの関係性が絶対的な正解かは分からないけれど、この時点で私達2人が出す最善の答えなのだ、という意味を含んでいるのかもしれないと思ったのです。
2人の絆
幼馴染2人の会話全般についてです。
例えばED直前の「今までのありがとう」を伝え合うシーンでは
侑「私ね、音楽やってみたいんだ。2学期になったら、音楽科への転科試験を受けようと思ってる。」
歩夢「そうなんだ、私はみんなの為に歌うよ。」
侑「私が夢を見つけられたのは、歩夢のおかげだよ。」
第12話終盤、侑と歩夢の会話
ここの2人の会話が内容だけを追っていくと噛み合ってないのでは?と一瞬思いそうになるくらい飛躍が含まれている気がしました。
文字だと伝わりにくいかもしれませんが、2回目の侑ちゃんのセリフ、本当にさらっと差し込まれてて、この2人じゃなきゃ戸惑うだろ(笑)っていう速さで話題の切り替わりが為されているような気がします。
他にも最後の侑ちゃんが歩夢ちゃんにピアノを披露した後に次のような会話をしていましたね。
侑「曲作りにチャレンジしてみたんだけど、今の私にはこれが精一杯。」
歩夢「そんなことないよ、侑ちゃん!」
侑「えへへ、そう?」
歩夢「うん!とっても素敵だと思うよ!」
第12話ED後、侑と歩夢の会話
侑ちゃんの「これが精一杯」の言葉に対して、歩夢ちゃんの「そんなことないよ」。
これ、その後の侑ちゃんの返答と歩夢ちゃんの「素敵だと思う」があったから私達は何も思わず受け取れる訳ですが、実際、「精一杯」だって言ってるのに「そんなことないよ」ってちょっと変じゃありません?(もっと頑張れるよ!!!みたいじゃないですか?笑)「えー?それでも十分素敵だと思うよ〜」ぐらいだと思ったんですよね。
実際の歩夢ちゃんは侑ちゃんの「精一杯」という言葉を謙遜として瞬時に読み取り「そんなことないよ」、そして侑ちゃんもまたその歩夢ちゃんの言葉の真意を理解して「えへへ、そう?」。
もうね、この幼馴染力というか。この2人の息の合い方が尋常じゃない気がすると同時に、ほんのり神秘的なほどに息の合った2人の会話がこれまでの2人の間の溝を払拭できたことを印象付けてくれているような気がしました。
神出鬼没...?
せつ菜ちゃんがかわいいあのシーンについてです。
ここでのせつ菜ちゃん、隣の副会長に「優木せつ菜」=「中川菜々」だとバレないか心配そうにしててかわいい、っていう風に言われていて、自分も最初はそうだと思ってました。
でも、ふと思ったのが、副会長が説明をしているホワイトボードの内容が演劇部のそれと酷似していて、これに少し違和感を感じました。(左上に演劇部って書いてありますしね)
ホワイトボードの内容を肯定するなら、副会長は生徒会として演劇部の公演の内容を何らかの関係者(生徒)に説明をしているか、議論しているか、といったシーンだと思うんですね。
そう考えると、その生徒会としての活動の場になぜ中川菜々ではなく優木せつ菜が存在しているのか?ということがすこーし疑問に思ったのです。
この後のシーンで同好会メンバーはお互いの手の内を明かさない、という会話をしていたので、なおさら優木せつ菜(しつこいですが中川菜々ではなく)が生徒会側の演劇部の打ち合わせに参加していることが不思議なのです。
で、そんなこんなで1つ思ってしまったのが、「せつ菜ちゃん、もうこれバレてんじゃね?」という。
もうバレてるからしずくちゃんのように練習着のまま会議に参加したっていう風に考えると何もかも辻褄が合ってしまう気がします...
副会長にはバレていても、その他の関係生徒の前で優木せつ菜=中川菜々として姿を現すことが初めてで、それでドギマギしているだけっていう感じなのかなあ...と。
しかも、優木せつ菜は学園内では神出鬼没のスクールアイドル、なんていう異名を持つぐらいですから、他の同好会メンバーのように虹ヶ咲の生徒に準備を手伝ってもらうということが難しいのかも、と思います。
そうすると、せつ菜ちゃんが正体をバラしてしまったついでに準備のために副会長を頼る、なんていうことがありそうな気がしなくもないという。
なんだか妄想甚だしい気もしますが、どうにも引っかかってしまうシーンなのでした。
さいごに
さて、いかがだったでしょうか。
第10話からずっと歩夢ちゃんについて考えてきたおかげで、昔よりも随分歩夢ちゃんについて深く知ることが出来てきたような気がしています。
今回私が書いたこと、特に歩夢ちゃんの夢に関するお話は少し突飛な部分もあるかなあ、とは思いますし、現時点で私がこう考えている、というだけのことですので、これを読んで下さった皆様がどのようにお考えになるかは全くの自由だとも思っています。
そして、次回はついに最終回...だと思いたくはないですが、まあ流れ的に最終回なんでしょうね。
次回予告で少しだけスクールアイドルフェスティバル略してSIF(だと思います)のTシャツが映っていましたね。
そのロゴマークに込められた思いや意味をあれこれ考えては見たものの、結局何も分かりませんでした...*4
次回その内容が明らかにされることを個人的に期待しつつ、楽しみにしておきたいと思います。
それでは、今回はここまでにいたします。最後までご覧いただき、本当にありがとうございました。ではでは。
*1:Say Good-Bye 涙/上原歩夢(大西亜玖璃) より
*2:この特徴的な夢を持っていない、という歩夢ちゃんは、多くの人にとって歩夢ちゃんに共感できる要因になる気がします。アニガサキは若者が抱えがちな種々の問題を取り上げ、各話で解決していく構成になっている、というお話を伺ったことがありますが、歩夢ちゃんはこういった点で若者の悩みの1つを表現している存在なのかもしれません。
*3:ここでの風が吹く描写は、ラブライブ!シリーズではよく用いられている表現で、にくい演出だなあと思いました。
*4:中央の丸はSIFの会場や皆んなが寄り集まるイメージ、SIFの概念そのものを表しているような気はするのですが、横線が入った縦棒の意味がどうもよく分からず、という感じです。例えば縦棒は同好会発足からSIFに到達するまでの軌跡、横線は断絶、つまり同好会の分裂を表している、とか言ってみたかったんですけど、横線が2本あることに気づいてこの構想はボツになりました。太い横線と細い横線の区別がポイントのような気はしています。そもそも、後ろの同好会メンバー以外のスクールアイドルも同じTシャツを着ているので、同好会特有の想いや事情は込められていないかもなあ、という。