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虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会アニメ感想第9話

 こんにちは、ネッチです。

 

 この記事は虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のアニメ第9話についての感想記事となっています。本稿はアプリ「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」のストーリーに関するネタバレを含む場合がありますので予めご了承ください。

 

 さて、第9話は果林さん回ということでした。前回のしずくちゃん回に比べると内容自体はシンプルだったのかなあ、と思います。「仲間でライバル」という関係性は、虹ヶ咲において以前から掲げられていた主要な考え方でしたから、馴染み深く理解しやすいものだったということが、シンプルに感じた理由なんでしょうか。

 

 今回の感想記事では私の経験を交えつつ、果林さんの心情について思ったことを書いていこうと思います。

 

[目次]

 

 

本番前のアレと本番後のアレ

 果林さんがライブをする少し前に、裏方で姫乃さんと2人で会話をするシーンがありましたね。

 

姫乃「それでも、スクールアイドルの魅力を知ってもらいたい。私は、1人でそこに立ち向かうあなたを尊敬しているんです。お互い、全力で頑張りましょう。では、後ほど。」

果林「...」

第9話中盤、裏方での果林と姫乃の会話

 

 この2人の会話の直後に、ステージから歓声が聞こえてきて、少し不安そうで、緊張からなのか冷や汗をかいているような、そんな様子の果林さんが描かれました。

 

 この、歓声が聞こえてきて緊張するという感覚が、個人的に身に覚えがありすぎて、思わず言葉を失いました。そのことに関して少し長くなってしまいますが、私の話をさせて下さい。

 

 というのも、実は私、高校生時代にダンス部に所属していて、色んな会場でダンスを披露したりしてたんですね。高校生のダンス部や同好会のための大会っていうのが毎年いくつかあって、参加チームのパフォーマンスを審査員が評価して、順位が付けられるっていう大会もあります。野球でいう甲子園みたいなものです。私達は30人ぐらいのチームでそういった大会に参加していました。

 

 その中でも1番大きかった会場が、4~5千人規模の会場でした*1。当時は私含め、チームの皆んなでビビリまくってました。そんな規模の会場を経験してるメンバーなんて一人も居なかったと思います。

 

 当時のことを少し思い出してみると、果林さんと同じ様に、本番がある何時間か前から衣装に着替えて、裏方で待機していました。この待機している間に、ストレッチしたり、体を動かして温めたり、チームでパフォーマンスの流れを確認したりするんですね*2

 

 ところが、この間の精神状態といったら、もうなんだか普通じゃなくなったりすることがあります。緊張で体がいつものように動かなかったり、少し動いただけで息が切れたりするときの「こんなはずじゃない」という焦り、逆に妙に落ち着いている瞬間があったり、とにかく「普通じゃない」状態になることがしばしばあるように思います*3

 

 そして、自分が待機している間にステージでパフォーマンスしているチームの楽曲が音漏れして聞こえてきたり、円陣を組んで気合を入れる掛け声なんかが聞こえてきたりします。なんかあっちのチームは強そうだなあとか思えてきて、余計に緊張してくるんですね。自分たちだって今まで練習を積み重ねてきたし、その成果を最大限の状態で披露したいという気持ちがあります。なのに体は思うように動いてくれなかったり。でも負けたくない。色んなことが頭を巡ります。

 

 そして、本番が近づいてくると、私と果林さんの経験としては少し異なってきます。というのも、私達の場合は今まで毎日一緒に練習してきたメンバーがいつもすぐ目の前にいて、お互いに励まし合ったり*4、何気ない普段通りのバカ話をして盛り上がったり、ある意味自分たちの世界に入り込んで、外の世界は見ずに特攻する、ということが出来たんですね。他のチームなんて知るか、と。私達は私達のパフォーマンスをするんだ、という感じです。

 

 それとは対照的に、果林さんは、本番直前には1人で佇んでいるというシーンがありました。姫乃さんに「1人で立ち向かうあなた」なんて言われて、1人なんだということを強く意識してしまったのでしょうか。同好会みんなの想いを背負っているという意識もあったかもしれません。この本番直前の果林さんの気持ちを想像すると、もういたたまれないです。メンバーと一緒に鼓舞し合うことができた私でさえ緊張するような状況なのに、本当に1人だとしたら耐えられそうにありません。

 

 そして、そんな果林さんの前に現れたのが同好会メンバーでしたね。やっぱり仲間って心強いんだよなあ、ってしみじみしてしまいました... 高校の部活(同好会)ってなると毎日2時間とか4時間とか一緒に活動すると思いますし、土日には一日中一緒にいることだってありそうです。学年が同じでクラスが近いメンバーとは休み時間に会話をすることだってあるでしょうね。今までの時間を共有してきた仲間はそこに居るだけで安心できるんじゃないかなあって思います。

 

 ステージ上ではソロでパフォーマンスをするとしても、直ぐ側に仲間がいる。そんな風に思える関係性って本当に素敵ですし、もはや美しいとすら思えてきます。自分がμ'sやAqoursのようにチームでパフォーマンスをするという方向性で活動してきたので、なおのこと同好会メンバーの関係性が眩しく感じられます。自分がソロでステージに上がるとしたら、直ぐ側に仲間がいると思えるのかなあ...

 

 そうは言っても実際に虹ヶ咲のキャストさんによるライブではそういった関係性が成り立っているのだろうし、キャストさんも随所でお話されてますよね。そんな美しく、本当の意味で尊い関係性に私は惹かれているのかなあ、なんて思います。

 

 さて、話をもとに戻して、果林さんが披露した「VIVID WORLD」。ステージの上では自信に満ち溢れた果林さんを見せてくれましたね。

 

 私の場合、ステージに上がって曲が始まってしまえばもう無敵状態です。本番前に散々抱えていた緊張や不安といったマイナスの感情は全て吹き飛びます。胸の真ん中がカーッと熱くなって、身体に活力がみなぎってくる感覚があって、でも頭のどこかではクールな自分が居て、練習通りに次の自分の行動に身を委ねていくような、そんな感覚です。

 

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第9話終盤、ライブ後のシーン

 

 果林さんはどうだったのかは分かりませんが、恐らく似たような感覚だったんじゃないかなあと妄想しています。パフォーマンス後の果林さんの表情を見ると、当時の自分を思い出してしまいます。息が上がった状態のまま、やり切った達成感やら、無事に終わったことに対する安堵感やら、どんなもんだ!という自己肯定感やら、とにかくキラキラした感情が溢れているような気がします。*5

 

 

余談

 ここからは、私が気になったちょっとしたことについてさらっと書いていこうと思います。

 

 まずは、このシーンです。

 

せつ菜「少しずつではありますが、私達はソロアイドルとして成長していると思います。ですが、同好会としての私達は、まだ何も成し遂げていません。」

彼方「私達のライブ~!」

しずく「活動を再開した時に、皆んなで話しましたよね~」

エマ「今なら実現できるかなー?」

愛「もう一度皆んなで話してみようよ!」

第9話序盤、同好会メンバーの会話

 

 個人的にアニガサキが始まってからずっと、同好会全体としての方向性みたいなものに注目し続けていたんですが、今回ではそのことについて少しだけ触れられていました。

 

 せつ菜ちゃんが言うには「同好会としての私達は、まだ何も成し遂げて」いない、ということですが、私がこのシーンを見て当初素朴に思ったこととしては、「ソロで活動するんだったら、同好会として何かを成し遂げる必要があるのか?」ということなんです。

 

 私が単に見落としているだけなのか、あまりはっきりした答えは見つかっていないのですが、彼方さんの「私達のライブ~!」という言葉と、これまでの同好会の歩み方をそのまま受け取ると、同好会主催のライブイベントで各メンバーがソロでパフォーマンスするということを目指しているのかなあ、と思いました。

 

 少しメタい話をすると、これまでのラブライブ!シリーズのアニメ作品では、OPのライブ映像が物語の最終盤のシーンであることが後に明らかになる、という構成になっているので、「虹色Passions!」は彼方さんの言う「私達のライブ」の映像だったりしないかなあ、なんて思ってます。

 

 でも、仮にそうだとしても、ソロでパフォーマンスすることと整合性が取れなくなるようにも思えます。ここからはもはや私の願望みたいなものですが、虹ヶ咲がこれまで築き上げてきた、それぞれの夢を追求してソロのパフォーマンスでそれを形にする、というような想いのあり方自体を1つのテーマとして全体曲を作る、というような描写がされたら良いなあ、なんて思ったりします。*6

 

 そもそも虹ヶ咲がソロを重んじるのは、無理に1つに纏まろうとすることで衝突が生まれたことがきっかけでしたから、逆に言えば衝突が生まれない部分では1つに纏まることだってできると思うんです。同好会メンバーのそれぞれの個性が強いことはもちろんのことですが、全くもって共通項が無いわけでもないと思います。そして、その共通項にパフォーマンスをしていない侑ちゃんが気付いていく、なんてストーリーがあったら個人的には嬉しいです。

 

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第9話終盤、ステージを見つめる侑ちゃん

 

 第1話から第9話までを通して、各メンバーのパフォーマンスを目撃してきた侑ちゃんが何を思ったのか。次回そのことが明らかになるような気がしてなりません。

 

 

あとがき

 さて、いかがだったでしょうか。

 

 今回は私自信の経験を重ねて、果林さんの心情を推し量ってみました。ステージに立つという経験がない方にも、果林さんの感じていた緊張や不安、達成感や安堵感を心に思い描いて貰えればなあ、なんて思っています。

 

 これまでアニガサキではライブ直前の緊張感という、リアルな情景描写はあまりされていなかったように思います。それが今回果林さんを通して描かれたわけですが、これは果林さんだけでなく他のメンバーにも当てはまることなのだろうな、と思います。そう思うと、これまでのメンバーのパフォーマンスからも、より一層感慨深いものを感じられる気がします。

 

 次回は侑ちゃん回ということでいいんでしょうか?今までの流れからすると、次回予告の文字色と声が担当メンバー仕様になっているので、侑ちゃん回なのかなあとは思いますが、内容が読みづらいですね。よもや侑ちゃんのソロ曲が披露されることはあるまいし(え、無いよね?)。

 

 それに加えて、侑ちゃんは我々ラブライブ!シリーズのファンをアニメに落とし込んだ存在だと言われることが多かったように思うのですが、そういった侑ちゃんの今後のあり方が、逆に我々ファンのあり方を規定してしまうような気もしていて、ちょっぴり怖い部分もあったりします。まあ、スクスタのあなたちゃんほど我々と近い存在というわけでも無いと思いますし、あくまで1人の同好会メンバーとして捉えていく方が良いのかもしれませんが。

 

 それでは、今回はこのあたりで終わりということにいたしましょう。ここまでご覧いただき、本当にありがとうございました。ではでは。

 

 

画像の出典:ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第9話(©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会)

*1:遥ちゃんはDIVERFESの規模を3千人と言っていましたが、果林さんのライブシーンを見ていると3千人どころじゃなさそうという。まあ、ペンライトを持つ観客の端が見えているというのも興ざめではありますけども。そう考えると、3万人とか5万人規模のドームで、しかもワンマンってことがいかにすごいかって話です...

*2:アイドルってなるとこれにプラスして歌の調整もしなければならないんでしょうか。アイドルって本当にすごい...

*3:リアルな話、こういったイベントの日の朝は早かったりするので、そういう所でも調子を狂わされることもあります。いつもエマさんに起こして貰っている果林さんにとっては大変だったのかも()

*4:背中をバシッと叩いたりするやつやりがち

*5:私の場合、歌を歌うことは無く、ダンスに特化したパフォーマンスだったので、それこそマラソン直後のようにへたり込むレベルで息が上がったりしていました。そんな苦しい状態でもこういった感情が溢れてきて、苦しいながらもその感情を噛み締めている自分がいたことは確かに記憶しています。

*6:これまで発表された虹ヶ咲の全体曲は、何か特定のテーマではなく普遍的なテーマについて歌っているように思います。Sweet Eyesは...普遍的なテーマ...なんでしょうか?まあなんにせよ、この辺りのソロアイドルの虹ヶ咲が歌う全体曲、という言葉自体の若干の齟齬のようなものを常々感じているのですが、これは私だけなんでしょうか?そうは言いつつも、全体曲のパワーに圧倒されて細かい事を気にしなくなるのはオタクの良いところですね。