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虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会アニメ感想第5話

こんにちは、ネッチです。

 

 この記事は虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のアニメ第5話についての感想記事となっています。本稿はアプリ「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」のストーリーに関するネタバレを含む場合がありますので予めご了承ください。

 

 さて、第5話はエマさんの担当回と言われているお話でありますが、果林さんが大きく関わってくる回でしたね。

 

 と、本題に入る前に少しお話をさせて下さい。

 

 今までのお話を思い返してみると、第1話は歩夢ちゃん+侑ちゃんの回(という私のイメージ)で、それに対し第2〜4話は各担当キャラの比重が大きかったように思います。

 

 今回の第5話は第1話のように、2人の関わりを中心として物語が展開されている、そんなイメージでした。

 

 

 逆に、ちょっと嫌な見方をすると、担当回なのに担当キャラの比重が小さいということで、なんだかなあ....という気持ちになっちゃったのは否定できません。

 

 じゃあ全部の担当回でメンバーそれぞれ別個の物語を展開すればいいのかと言うと、それはそれでメンバー同士の関係性が薄っぺらくなりそうで、ジレンマに陥るという。うむむ...

 

 とまあ、私みたいな面倒くさいオタクはあれこれ考えちゃう訳ですが、この記事は、第5話において(果林さんの比重が大きいために)特に相対的にエマさんの比重が小さかったように思う終盤の挿入歌La Bella Patriaを、あくまでエマさんを中心に据えて考えてみようという記事になっています。

 

 

誰の歌なのか

 TwitterYoutubeのコメントで、この楽曲は果林さんの気持ちを代弁して歌っているかのように思える、というような感想をちらほらお見かけしました。

 

 最初そんな感想を見たときは「え、エモくね?」と、思わず感動しちゃったわけですが、その後しばらくすると、冒頭でも申し上げた通り、エマさんの曲なんだからエマさんの気持ちを歌っていると考えられないかなあ*1、と思うようになりました。

 

 La Bella Patriaの歌詞の内容を私なりにふんわりと纏めると、「新しい世界に踏み出すのは怖いけど、自分の気持ちを大切にして勇気を出そう」という感じでしょうか。

 

 この挿入歌が披露された前後の文脈としては、果林さんがスクールアイドルに興味はあるけど、周りの目や、自分が思う自分のあるべき姿に反するとして、その世界に踏み込めないということでした。*2

 

 そうすると、そんな果林さんがスクールアイドルの世界に踏み出す時の気持ちの変化を歌ったのがこの曲なんだと解釈できそうですよね。怖いけど自分の気持ちに素直になろう、と。嘘をつくのはやめよう、と。

 

自分の気持ちに

嘘をつくのって

すごく難しいね

 第5話挿入歌より

 

 それならばじゃあ、いったいエマさんの気持ちはこの曲のどこにあるんだろうというのが本題になってくるわけです。

 

 いやまあ、歌っているのはもちろんエマさんなので中心はエマさんなのですが、この曲の精神的な側面として、本当に果林さんの気持ちを代弁して歌ってるだけなのか?ということなのです。それは流石に寂しくないですか...?

 

 そして最終的に辿り着いた、私の考える結論を述べさせていただくと、この曲は、過去のエマさん自身の経験を元に作られているのではないか、ということです。そしてその経験を元に歌うということ自体がエマさんの目指すスクールアイドル像の要素の1つなのではないか、とも思うのです。順を追ってお話していきましょう。

 

経験を歌う

 この曲がエマさんの経験に基づくという直接的な描写はありませんが、歌詞の様々な部分からそのイメージを感じ取れると思います。例えば「空を超えて」、「トランク」、「詰め込んだ思い出*3」、「La Bella Patria」などは、スイス(と日本の関係)に関連する事柄、つまり果林さんにはないエマさんだけの経験を想起させる単語なのではないでしょうか。

 

 そして仮に、この曲はエマさんの経験を歌ったものだとすると、エマさんは過去に「新しい世界に踏み出すのは怖いけど、自分の気持ちを大切にして勇気を出そう」と感じた経験があるということになります。

 

 エマさんがスイスでスクールアイドルに憧れた瞬間、その世界に一歩を踏み出す、それを怖いと感じるのは当然のことでしょう*4。しかし、それでも自分の気持ちに嘘をつかず、勇気を出して日本にやって来た。うん、とっても自然に解釈できますよね。

 

寄り添うこと

 さてそんなこんなで、この曲がエマさんの経験を歌った曲なのだと考えることにすると、じゃあ逆に果林さんの立場は...?となってしまいそうです。挿入歌の前後で散々フォーカスしておいて、挿入歌の間はエマさんの独壇場とはこれ如何に、という。

 

 またまた冒頭で申し上げたジレンマに陥ってしまいそうなのですが、そんなジレンマが(少なくとも私の中では)解消された解釈というのが、先程登場した「経験を元に歌うことがエマさんのスクールアイドル像の要素なのだ」というものなのです。

 

 エマさんが成りたいスクールアイドルはどんなものだったか。もう一度振り返ってみると

エマ「私ね、人の心をぽかぽかさせちゃうようなアイドルになりたいって思ってて。」

 第5話中盤、PVのアイデアを話し合うシーン

ということでした。人の心をぽかぽかさせたい。なかなかシンプルですね。

 

 じゃあ、人の心をぽかぽかさせるアイドルとは具体的にどんなものか。人の心をぽかぽかさせるにはどうしたら良いか。この問いにはエマさん自身も答えあぐねていたようです。

 

 これまでのアニガサキは毎話ごとに課題や問が提示されて、各話内で答えを出すという構図が印象的なように思います。しかし、今回の第5話では直接的に問に対する答えというのは示されていないように思います。

 

 そんな第5話におけるこの問に対する答えは、人の心をぽかぽかにさせるとは、その人と同じ目線で寄り添うこと、なのではないかと思うのです。

 

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エマ「心をぽかぽかにするってこういう感じなのかなあ。」

 第5話中盤、エマさんが衣装を試着するシーン

 

 様々な衣装を着て、その衣装に相応しい人柄の人生を想起することで、その衣装を着る人が関わることになる相手と同じ目線で対話をし、寄り添うという疑似体験をすることができた。これがエマさんが「ぽかぽか」を感じた理由なのではないでしょうか*5

 

 そして、相手と同じ目線で寄り添うには、エマさん自身が「自分はこういう経験をしてきたんだよ」、と伝えてあげることが重要になってくるのだろうと思います。自分の経験を話してくれる人の言葉や寄り添う姿勢には説得力がありそうです。

 

 そう考えると、エマさんがLa Bella Patriaを通して、エマさん自身がスクールアイドルを始めた時の不安や期待などの感情を歌にして果林さんに伝えている、ということで、つまりは果林さんと同じ目線に立ち寄り添うための曲なのだ、と思うわけです。果林さんもぽかぽかしてるように見えませんか?

 

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第5話終盤、挿入歌後のシーン

  

 と、以上のようにこの曲を解釈すると、エマさんの経験あるいは気持ちを歌った楽曲で、躊躇していた果林さんの背中を押す、という挿入歌の解釈としてもストーリーの流れとしても、うまい具合にキャラの比重を折半できたんじゃないかなあと思います。これには面倒くさいオタクもニッコリ。めでたしめでたし。

 

 

余談

 さて、ここでは本編には入らないちょっとした余談を書いていこうと思います。

 

 まず、冒頭のシーン。

 

エマ「(どこまでも広がっている、スカイブルーの空。眩しすぎて見えなかった。アイドルになった私にどんなことができるのか。)」 

第5話冒頭、学園前でエマさんが空を見上げるシーン

 

 ここのセリフは個人的にとってもとっても意味深で、当初このセリフだけでブログを書く計画があったとかなかったとか。

 

 

 皆さんには私が奮闘の末辿り着いた結論とそこに至った経緯をご紹介しようと思います。

 

 まずこのセリフの「眩しすぎて見えなかった」について。ここの眩しいものってなんでしょうか。私が最初に思いついたのは「空」もしくは「アイドル」の2つです。空が眩しい、もしくはアイドルが眩しい。どっちなんでしょうか。

 

 前文からの繋がりで「空」だと考えても、スイスの大自然で育ったエマさんにとって空が眩しすぎて見えない、というのはちょっと違和感があるかなあと。

 

 じゃあ、後文の繋がりで「アイドル」だと考えると、スイスでアイドルの動画を見てぽかぽかした、と果林さんに話していたので、アイドルに憧れに憧れて眩しすぎる、という表現も少々違和感あるような気がするんです*6

 

 うーん、じゃあここの眩しすぎるってどういうことだ?、とドツボにハマっていたわけです。

 

 そんな私が導き出した”一応の”結論が、眩しかったのは「エマさん自身の、希望に満ちた展望」なのではないかということです。これから始まる新しい世界での生活に対する期待が溢れすぎて、色々想像を膨らませるせいでかえって先の見通しがつかない、あるいはつけたくない。そしてそんな世界は輝いていてとっても眩しい。こういう情景だったんじゃないかなあ、と思います。

 

 さて、これで終わりかと思いきや、もうちょっとだけ続くんじゃ。

 

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第5話冒頭、学園前でエマさんが空を見上げるシーン

 

 「アイドルになった私にどんなことができるのか。」というセリフ。このセリフは上の画像のシーンでのセリフなのですが、ここでのエマさんは恐らく日本に来てすぐの頃なのだと思っています。学生寮の地図が必要なレベルですからね。

 

 何が言いたいのかと言うと、「アイドルになった私」と言っていますが、学園での生活が始まったかどうかの段階でもうアイドルになってたの!?ということなんです。学園の外部でアイドルをやってたのか?とか、寮に手荷物を置く前に同好会に顔を出しにいったのか?とか。うーん、エマさんならやりかねないのか...?

 

 結局結論は出なそうだなあという雰囲気はあるのですが、最終的に私が辿り着いた結論はというと、

 

エマ「やりたいと思った時から、きっともう始まってるんだと思う。」

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第5話終盤、挿入歌後のシーン

 

 これです。はい。もはや説明は不要でしょうか。

 

 エマさんの中では、学園の前に立ったあの瞬間には既にアイドルとしての人生がスタートしていたのかもしれません。

 

 いやあ、こんなとこに爆弾が仕掛けてあるなんて... 全くの予想外でしたよ...*7 

 

 

最後に

 さて、いかがだったでしょうか。

 

 個人的な裏話として、今回はこれまでの回とは違って書き始めるまでに大分時間がかかりました。だんだん自分がアニガサキの構成に馴染んできたせいか、特に引っ掛かる部分(良い意味でも悪い意味でも)というのが無くなってきて、感想記事と言ってもアニメ見たらみんな同じ感想抱いてそうだよなあ*8、となってしまい、自分の中の感想記事のハードルがちょっとずつ上がってきたような、そんな感覚があったりします。

 

 アニガサキももう3分の1は終わってしまい、そろそろ折り返しということで、ちょっぴり寂しい気持ちが顔を覗かせつつも、少しずつ紡がれていく彼女たちの物語が厚みを増してきているのが嬉しいですね。

 

 次回は璃奈ちゃん回でしょうか。今回のED後のシーンで何やら意味深な会話を愛さんとしていましたが、一体どんなお話になっていくのか、楽しみでなりません。

 

 それでは今回はここまでといたします。最後までご覧いただきありがとうございました。ではでは。

*1:これはあくまで私の願望みたいなものなので、ご紹介した感想を否定するものじゃないと言っておきます。色んな解釈ができる方が面白いですしね。

*2:この自分のあるべき姿というのは、最初は周りの目を気にして生まれたものだったとしても、しばらく時間が経つと、もはや周囲の人々が受け入れてくれる環境であっても、自分はこうでなければならない、という風に固定観念化してしまうのだろうと思っています。現に私がこの果林さんと同じタイプなので、果林さんの言動1つ1つが刺さりまくるという。

*3:スイスの家族との思い出でしょうか?

*4:スイスではスクールアイドルが一般的に知られていないとすると、そんなスクールアイドルになるために単身日本に発つというのは、特に高校生にとっても家族にとっても不安が付き纏うものだろうと思います。

*5:エマさん自身が「ぽかぽかにさせるスクールアイドルとはどういうものか」という問の答えを見つけられたのかは分かりませんが、私の意見と同じでなくとも、何かしらの答えを見つけていたら喜ばしいことだなあと思います。

*6:ここでも、ぽかぽかにさせる=相手と同じ目線で寄り添うことだと考えると、やっぱり噛み合わない気がするんですよねぇ。

*7:ちなみにこの答えに辿り着くまで3,4日は考え込んでました。気付いた瞬間というのは、今まさにこの記事を書いている時で、内心ウッキウキなんですが、気付いたときにはリアルに「ハッッッッッッ........」ていう声?が出ました。それほど悩んでたってことです。

*8:同じ感想でもそれぞれの言葉で表現することがまた面白いというのはありますけどね