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ラブライブ!シリーズやその他のことについて書こうと思います

ラブライブ!スーパースター!!第8話感想

 こんにちは、ネッチです。

 

 恋ちゃんがついにスクールアイドルになりまして。これまでのラブライブ!シリーズで描かれた要素が詰まっていたこともあって感動的でしたね。

 

 駆け抜けた日々そのものが輝きなんだ、というAqoursの出した答えが、葉月花さんたちのグループにそのまま重ねられているようで、ほんの数十秒のセリフだけで花さんたちの駆け抜けた日々の厚みを想像できるのはシリーズファンのお得ポイントだったかもしれません。

 

 今回は花さんと恋ちゃんのそれぞれの視点で考えてみようかなと思います。おまけもあります。

 

 

花さんの願い

 恋ちゃんが当初考えたように葉月花さんは、スクールアイドル活動に関する記録だけを学校生活の記録から処分した、というわけではなかったんですね。

 

理事長「何も言わないでほしいって。ただ、あの子が自分で決めるのを見守っていてほしいって。」

第8話終盤、理事長と恋・かのんの会話

 

 理事長がこの言葉を聞いたのがいつの事か、というのを想像すると十中八九、花さんが亡くなる直前あるいは少し前なのかな、と。

 

 花さんが高校生の時に同級生に対して、将来授かる子どもを指して「あの子」と呼ぶのは流石に考えにくいし、「"見守って"ほしい」という言葉遣いと同級生という関係性から察するに、花さん自身がもう先が長くないことを悟って理事長に伝えた言葉だったんじゃないかなあと思いました。

 

 「自分で決めるのを見守る」という言葉と同時に「何も言わないで」という言葉を遺したということは、裏を返せば、花さんは(理事長が)恋ちゃんに「何かを言う」ことで「自分で決めなくなってしまう」ことを避けたかった、という想いが読み取れると思います。

 

 そして学校アイドルに関する記録(だけ)を理事長に託しある種の口止めをしたことから、花さんは恋ちゃんにスクールアイドルだけに囚われてほしくはなかったのかな、と。

 

 母親の影を追いかけるのではなくて、自分でやりたいという意思が生まれた場合にスクールアイドルになってほしい、と思ったんじゃないかなあ。*1

 

葉月花「恋...。スクールアイドルは...。お母さんの最高の思い出。」

第8話中盤、全校集会中の恋の回想

 

 スクールアイドルが最高であるのは花さんにとってなのであって、その思い出そのものが恋ちゃんのものになることは無いし、やはり恋ちゃん自身の意思や伝えたい想いがなければスクールアイドルとして成立しないんでしょうね。歌とダンスで表現するものだし。

 

 こういったことを花さんは自覚していたからこそ、(やるやらないに関わらず)恋ちゃんが自分で決めることを願ったのかもしれません。

 

 余談ですが、恋ちゃんの自己紹介文を見ているとむむっと思ったのでここで引用してみます。

 

好きな食べ物は、いちごですが、特にこだわりはありません。

メンバー紹介 | 「ラブライブ!スーパースター!!」公式サイト

 

 メンバー紹介ってその子の性格とかが言葉で書き表されているので、アニメを見ながらちょいちょい確認しているのですが、この「こだわりはありません」という言葉と今回のストーリーの繋がりを感じてしまったので書いておこうかなと。

 

 恋ちゃんが自分で決めることを願ったのかも、というお話をしてきましたが、この恋ちゃんの「こだわりはありません」の言葉から察するに、葉月家でも恋ちゃんは「これがしたい」とか主張をすることが少なかったのかもなあと。

 

 基本的に恋ちゃんって、なんとなくですが良い子のお嬢様というイメージがあるなあと感じます。アニメで恋ちゃん自身のわがままを表現していたシーンってこれまでなかったんじゃないかなと。例えば今年の学園祭は音楽科だけで、という主張などは、わがままというより義務を全うするための行動であって、やはり恋ちゃんから生まれた想いではなかったように感じています。

 

 恋ちゃんがそういう性格であることを考えると、母親である花さんが「自分で決めてほしい」と願ったのも頷ける気がするのです。まあ分かりませんけど。

 

 

活動記録について

 恋ちゃんが自分の意思で決めることを願ったという事実(あるいはこの記事における仮定)がまず最初にあって、その上で花さんが起こした行動が「学校アイドルの活動記録を隠した」ということで。その一方で、記録の一部に繋がる鍵は恋ちゃんの自室の机に忍ばせていたという。そして手掛かりは口癖の「同じ場所で想いがつながっていてほしい」。

 

 まるで謎解きゲームのようですが、そうする理由がやっぱり何かあったんじゃないかな、と思うのです。

 

 まあ単純に花さんがロマンチストだったという説もなくはないですが笑

 

 丁寧に考えると、まず「同じ場所で想いがつながっていてほしい」というのがやっぱり本心で、同じ場所であることに強いこだわりがあったんだろうなと。謎解きゲームの手掛かりだと軽く捉えてしまうのはあまりに味気ないし、花さんの想いを軽視することに繋がりかねないので...笑

 

 しかしその本心だけではなく、「鍵を恋ちゃんの机にしまっておいたこと」がやっぱり大事かなと。

 

 活動記録ノートに鍵をかけずに学校アイドル部の部室に置いておくだけであれば、それはかのんちゃん達や他のあり得たかもしれないスクールアイドルにも”繋がる”可能性はあったわけですよね。

 

 でもそうではなく、本来であれば恋ちゃんだけが持っている鍵でしか開けられないようにしてあったことは、やはり一考に値すると思うのです。ただそれでも恋ちゃんの手に渡るだけで良いなら自宅に保管するだろうし、あくまで”同じ場所であること”にもこだわったと。

 

 これらのことを総合すると、花さんは恋ちゃんに、学校アイドル部の部室の中でその活動記録に触れてほしかったのではないか、という1つの仮説が浮かび上がってきました。

 

 まあ、そうして欲しい理由は定かではありませんが、卒業後同じ場所に学校を設立するほどだし、口癖になるほどの「同じ場所」にこだわるのも分からなくはないかなあと。花さんはある意味ロマンチストだったと言えるのかもしれません。*2

 

 もう1つ想像を重ねると、活動記録ノートと衣装は実は現役時代から部室に残してあって、亡くなる直前に恋ちゃんの机に鍵をしまった、という説も全然ありかなあと。現役時代に日常的にあの箱を使用しており、その箱からノートを出し入れしていた、なんていうストーリーも素敵ですね。

 

 

後悔したのではないか

恋「もしかしたら、母は後悔していたのではないか。スクールアイドルでは学校は救えないと感じていたのではないかと...。」

第8話中盤、恋と4人の部室での会話

 

 当初恋ちゃんが学校アイドル部の活動記録を1人で探していた時期に、恋ちゃんはこのように思ったとのことで。

 

 最初リアタイしていた時は、そう考えるのはちょっと早計では...?と思ってしまったのですが、よくよく考えるとそう考える方がむしろ自然かもなあ、と思い始めました。

 

 写真1枚すら見つからず、サヤさんも事情を知らず、母親と同級生だった理事長も何も言わない。でもアイドル活動をしていた事実だけは知っている。

 

 恋ちゃんからすれば、母親は自身のアイドル活動の記録を娘や他人に見せたくないと思っている、と想像したんじゃないかなと。”黒歴史”というワードをイメージすると考えやすいかも。自分の黒歴史は抹消したいですよね。他の学校生活の記録は残っている、というのもポイントかなと。

 

恋「大切な思い出の写真一枚残っていないなんて、あると思いますか!?」*3

第8話中盤、恋と4人の部室での会話

 

 いやあ、ここの青山さんの演技、迫真でしたね。ここは文字ではなくてぜひとももう一度音声と映像で味わってほしいな、と。

 

 あるいは、考えすぎかもしれませんが、夫に反対されながらも花さんが校舎を買い取り新たに開校したということは、母親に「もう一度やり直したい」という強い想いがあったのではないか、と恋ちゃんが考えたのかもなあと。その上で、神宮音楽学校では存在していたはずの学校アイドル(の記録)だけが結ヶ丘に引き継がれていない。やり直したいはずなのに...?

 

 そう考えるとやはり恋ちゃんが、母親は学校アイドル活動を後悔し、記録を削除した上で結ヶ丘を開校させたと考えるのも頷ける気がするのです。

 

可可「あの人の気持ちは分かりますが、だからといってスクールアイドルを禁止にするのはやっぱりひどすぎると思います。」

すみれ「少なくとも私らには何にも関係ないことだもんね。」

第8話中盤、かのんの自室での4人の会話

 

 恋ちゃんとしては、後悔をした(orしていたかもしれない)母親のようにはなってほしくない、という想いがあったためにかのんちゃん達の活動に反対していたのでしょう。

 

 あるいは、学校アイドル活動が学校を救えなかっただけではなくむしろ悪影響を与えた、という想像を恋ちゃんがしていたのかも、という仮説は既に述べた通りです。もしそうなら、かのんちゃん達のスクールアイドル活動を黙認ではなく禁止までした理由には十分なるかなと思うのです。母がやり直そうとした学校に万が一のことがあっては困りますから。*4

 

 まあ、かのんちゃん達が母親の二の舞にならぬようにと考える事自体はとても心優しい一面だと思うし、やはり結ヶ丘やその生徒のことを思う気持ちは強いんだろうと思います。だからこそ音楽科生徒から人気もあったんじゃないかなと思います。*5

 

 ただ、あまりに不器用すぎたんだろうなと。それはもう想像を絶するほどに。絶するからこそ反感を買ったというか。

 

 母親が遺した学校を存続させることの義務感も相まって、普通科生徒と対立してしまったんだろうなあ。すれ違いがなんとも悲しいですが、恋ちゃん自身も、「後悔していたのかも」と、確信を持てない部分があったためにかのんちゃん達に理由を説明できなかった側面もある気がしています。

 

 

整合性とエモの話(おまけ)

 少し8話から話は逸れますが、記事を書く途中で思ったことについて。

 

 脚本家の花田十輝さんがとあるインタビューでお話されていたことに次の言葉があって。

 

ラブライブ!」みたいに物語よりエモーションに重きを置きたい作品の時は、いい台詞(せりふ)や会話が書けたら、ストーリーの方を変えて台詞を生かす。

君は花田十輝さんを知っているか アニメ脚本家の実像に迫る(前編)(47NEWS) - Yahoo!ニュース

 

 ラブライブ!は物語よりエモーション、とのことで。作品をどう受け取るかは視聴者に依るとは思いますが、一応脚本家はこうおっしゃってますよ、ということで。

 

 細かい整合性にこだわるより、勢いでエモエモになれるところはそれで良いんだよ、という話かなあと思います。別にこれに異論があるとかいうわけではなくて。

 

 この記事で「なぜ花さんは活動記録を隠したのか」など、細かいところを突く話を沢山してきました。整合性を気にしているという面も否定できないかもしれませんが、気持ちとしてはむしろエモーションを増幅させるためにやっているというイメージなんですよね。

 

 また、色んな描写から各登場人物の背景や思考を細かい部分まで想像する。この過程そのものが楽しいという部分もあります。*6

 

 それでも、考えるうちに自分の中で理解できない点やピンとこない点はどうしても出てきてしまいます。現に千砂都ちゃんの転科の理由がいまだに(というか8話を見たからこそ)理解できていなかったりします。

 

 しかし、こうなっているのも全部エモーションを増幅させるためにやっていることなので、理解できない点は(なるべく作品に忠実でありながら)エモくなるように、都合の良いように解釈することにしています。かのんちゃん達と一緒の普通科になりたかったのかなあ、などと。

 

 まあ転科については、次回恋ちゃんの転科?に関するお話がありそうなのでその時考えることにしますが...

 

 なにはともあれ、こうやってあれこれ考える時間がやっぱり楽しいし、そんな時間を一緒に過ごした作品っていつの間にか好きになっているんですよね。悩み抜いた末に導いた解釈には愛着が湧くし、挿入歌を聴いたりする時の感動もマシマシになります。

 

 

さいごに

 さて、今回は花さんと恋ちゃんのそれぞれの視点で一連の流れについて想像してみましたがいかがだったでしょうか。

 

 特に花さんの視点については語られていない部分が多く、大半が妄想になってしまいましたが、自分では悪くない妄想だと思っています(?

 

 かなり話が込み入っているので、これまで考えてきたことを念頭に何回か見直してみようかなと思います。

 

 最後までご覧いただきありがとうございました。ではでは。

 

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*1:実際恋ちゃんは当初結ヶ丘を盛り上げるためにスクールアイドルを始めようとした、といった旨の発言をしていましたね。ただ単にスクールアイドルがやりたかったという想いも否定はできませんが、花さんの予想が的中していたような気がしなくもないです…

*2:個人的には故郷とか、聖地巡礼の時に感じる「場所」に対する想いと似ているのかもと思ったり。

*3:実際残っていないということは、大切ではなくむしろ消し去りたい過去なのではないか、という事ですね。反語。

*4:自分自身でスクールアイドルが学校に悪影響を与えるかどうかを確かめずに、母の想いだけを汲み取って頑なだったところからすると、やっぱり従順で良い子のお嬢様だったのかなあ、と思えてきます。

*5:結ヶ丘に入学したことを後悔してほしくない、という発言も印象的でした。

*6:私の推しである桜坂しずくちゃんが好きになったのも、こういった細かい部分まで考える過程があったからだと思っています。