ねっちりとした今日までの時間

ラブライブ!シリーズやその他のことについて書こうと思います

ノンフィクション論

 こんにちは、ネッチです。今回はLiella!の楽曲「ノンフィクション!!」について考えながら、ここ最近思っていること、そして伝えたいことを書いてみたいと思います。

 

例え今はまだ 遥か遠い場所にいても
人知れず涙こぼす 誰かに届くまで
決意の光/三船栞子

 

誰のための証明ですか?

 すみれちゃん、あるいはLiella!がノンフィクション!!で伝えたいことって何だと思いますか?何をテーマにしているか、ではなくむしろこの歌によって何をしようとしているか、です。

 

 TVアニメのラブライブ!スーパースター!!第4話および第10話にて、すみれちゃんはこれまでずっとセンターになれず苦い思いをしてきたことが描かれました。そしてすみれちゃんは次第に、自分はセンターにはなれない運命なんだと思い込むようになっていきました。実際、予選でセンター就任を提案されたときはひどく動揺していたし、クラスメイトに難色を示されるとすぐに引き下がってしまいました。センターに立ちたかったはずなのに。

 

 そんなすみれちゃんは可可ちゃんの手助けもあり、自分で殻を破り一歩踏み出すことでセンターを手に入れました。ティアラを受け取るのではなく自分で掴む描写はそのメタファーでしょう。

 

 では、その上でノンフィクション!!で伝えたいこととは何なのか。単なる10話の振り返りソング?それも1つの解釈でしょう。でもここでは、そこからもう少し視点を広げた解釈を提案したいと思います。

 

証明してあげるわ
不可能なんてないってことを
ノンフィクション!!/Liella!

 

 なぜこのフレーズで「あげるわ」って言っているのだと思いますか?可可ちゃんがすみれちゃんに証明してあげたから?そうとも言えるでしょうが、逆に、実際に一歩を踏み出したすみれちゃんが証明したからとも言えますよね。

 

 あるいは、そういったすみれちゃんの行動を生み出した他のLiella!メンバーの行動・想いも全てひっくるめてLiella!が証明した、とも言えるでしょう。(このパートはLiella!のリーダーも歌ってることですし)

 

 じゃあ、彼女たちはなぜ「不可能はないと証明してあげる」という歌詞をステージで披露したのだと思いますか?Liella!自身の思い出を語るためだけであれば、すみれちゃんが「一歩踏み出したらセンターになれたよ」とか、「可可ちゃん背中を押してくれてありがとう」とか、そういった内容で済むはずなんですよね。でも実際、達成感や感謝を表す言葉はこの歌では明示されていません。

 

 じゃあ一体この歌は何のため、そして誰のための証明なのか。

 

 それは、見ている観客のため、もっと直接的に言えばLiella!およびラブライブ!スーパースター!!のファン、そしてこの記事を読んでいるあなたのためだと言えませんか?

 

 Liella!ってとってもキラキラしていますよね。歌もダンスも1stライブツアーやその前のリリイベの時点からハイレベルなのは誰もが認めているでしょう。一般や事務所出身からのオーディションを勝ち抜いたキャストさんはとても格好良いし、合格したことに満足するどころかライブの練習、レコーディング、撮影、他にも個人の活動をされている方もいて、そして1stライブツアーの過密にも思えるスケジュールをこなしていました。それでも我々に対してはいつもキラキラした笑顔やそれぞれの想いを共有してくれています。


 苦しい時間なんてないということはないはずで。実際、ライブのmcでポロッと教えてくれたり、書籍で語られた場面もいくつかありましたよね。ツアーファイナルのティザー映像で見られた伊達さんの涙も一時期話題になりました。それでも留まるところを知らない姿には感心してばかりだし、まさに不可能なんてないと証明していっているわけです。

 

 そんなLiella!が他でもないあなたのために不可能はないと証明してくれている、そう考えたことはありますか?

 

 キラキラしているLiella!はある意味フィクションです。ステージはそもそもフィクションの塊です。ダンスを踊っている間は体力的にしんどいものだし、息も上がります。筋肉痛が大変だったという話はリエラジ!でされていましたが、筋肉痛になるぐらいの運動量なわけです。でもステージ上では笑顔です。「不可能なんてない」、とても格好良い言葉です。もうFantastic!です。Amazing!です。そうですよね。

 

 でもこれがノンフィクション!!だよって叫んでいるのです。

 

 そしてそれはあなたのために。これはステージ上だけの世界ではなくて、あなたにも、あなたの日常生活にも起こるノンフィクションなのだと。ノンフィクションって、そういう意味だとは思いませんか?

 

Do Da Da Real live yeah!
ノンフィクション!!/Liella!

 

 キラキラした物があなたのもとに訪れる、例えばそれをライブという空間・時間として与えてあげるとか、それだけがノンフィクションだと言っているのではないのです。欲しがるだけならまだまだ、自分が変わらなきゃ、ですよね?欲しいと思ってすぐ手に入るものについて歌っているわけではありません。むしろ手に入れるのが難しいから歌に乗せて届いてと祈るのです。*1

 

それなら自分がまず変わらなきゃ
欲しがるだけならまだまださ
ノンフィクション!!/Liella!

 

 ノンフィクション!!はある意味残酷な歌です。怖い思いをしていたすみれちゃんの姿を見せておきながら、あなたに手を伸ばせと迫ってくる。でもそれは手を伸ばした先の景色を見たからこそ、怖くても手を伸ばすことに価値があると胸を張って言えるからこそでしょう。

 

Day1

 そして極めつけはこの曲。遅すぎるなんてないから手を伸ばせと。

 

遅すぎるなんてない
不可能なんてない
いつだって 思い立ったらその日が始まりの Day1
Day1/Liella!

 

 1stツアーでノンフィクション!!からDay1を続けて歌った意味、それはすみれちゃんがあなたより先に一歩を踏み出してしまったために、遅すぎることはないと叫ぶ必要があったから。他でもないあなたのために。*2

 

もっと ワクワクしてたい
もっと ドキドキしていたいよ
退屈な毎日を塗り替えちゃおう
Day1/Liella!

 

 本当にワクワクドキドキしていますか?って。退屈な毎日過ごしてませんか?って。ライブの時間だけワクワクして満足していませんか?もっともっともっと、楽しいだけじゃない、不安でドキドキもする日々。文字通り毎日を塗り替えようよ?って。

 

高すぎるなんてない
遠慮はもうしない
この足で 勇気を出して どこまでも飛び上がっちゃおう
Day1/Liella!

 

 遠慮してませんか?って。自分の人生はこんなものだと思い込んでいませんか?って。

 

色褪せない 僕らの ストーリーを
一緒に今始めよう
Day1/Liella!

 

 ワクワクドキドキした毎日をノンフィクションだと叫んでくれたのがLiella!のキャストさんでしたよね。無名だったキャストさんがLiella!のキャストになって毎日が変わったこと、観客として先輩のライブに参加していた時間だけではなく、本当の意味で毎日を変えられることを証明してくれた。次はあなたが証明する番だよって、そう聴こえてきませんか?

 

 しかもLiella!自身もまだ証明を終えたわけではありません。本当の願いに気付いたのはいまですから。だから一緒に今始めよう、と言ってくれているのです。

 

本当の願いに気づいた もうとまらない
いま心が駆け出すんだ
START!! True dreams/Liella!

 

始まりは君の空

 さて。自分には夢なんてないと思ったそこのあなたへ。自分はスクールアイドルにはなれない、ステージには立てないと思ったそこのあなたへ。

 

 単刀直入に申し上げると、夢という言葉に含まれるのが、パイロットになる、医者になる、ケーキ屋さんになる、先生になる、そういった何者かになる事、あるいは客観的に立派だと思われそうなことだけだと思わないで欲しい、と個人的には思います。というか、ラブライブ!がそう言っています。

 

 夢なんて大層な言葉に惑わされないで欲しいと思います。明日の目標、やりたい事、ノリでちょっとやってみっか?、何でもいいのです。本当に何でも。明日は絶対に焼肉を食べる、場合によってはそれでも良いのです。どんなことであってもその事に本気になって、壁にぶつかりながらも進み続けることが輝くことであり、これが退屈な毎日を塗り替えることだと僕は思います。

 

 夢なんてそんなものです。あのキラキラした立派な夢にも思えるスクールアイドルですらくだらないと断じた人だってサンシャイン!!劇場版では描かれました。結局は自分が自分に嘘をつかないこと、これが大事なんだって。虹ヶ咲がラブライブ!に出場しないことを選択したのもそのことを我々に伝えたかったからだとは思いませんか?

 

きっと夢だと決めてしまえ
TOKIMEKI Runners/虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

 

 始まりがドラマチックな夢ばかりではないし、最初はぎこちないし、一旦は引き下がったりも日常茶飯事です。千歌ちゃんだって最初は廃校の予定をμ'sと同じだと喜んでいましたが、走り続ける途中で廃校阻止が譲れないものに変化していっただけです。梨子ちゃんも最初はピアノに本気になろうとしていたために生半可な気持ちではスクールアイドルを始められない、と言いながらも結局は始めています。でもその一歩がキセキになったわけです。

 

やりたいと思ったときから、きっともう始まってるんだと思う
TVアニメラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会第5話

 

キミに届け!

 さて、本編としては最後の章になりますが、今回紹介したノンフィクション!!やDay1以外の曲でもあなたに対するメッセージは沢山発信されています。始まりを歌う曲であれば例えば以下のようなものです。

 

初めての高まりを
君も感じてるのかな
さあ一歩目を一緒に飛ぼうよ
始まりは君の空/Liella!

Dancing Heart わくわくとまらない
Dancing Heart 君と僕とで
Dancing Heart ほら始めようよ
勢いだけで いいんじゃないかな
Dancing Heart La-Pa-Pa-Pa!/Liella!

たった一歩だっていい
うごいてみ I can do it!
変わっていくよ 世界はDon Don Don
バイバイしちゃえば!?/Liella!

ああずっと待ってたって分かった
君とのスタート
夢が夢を 連れてくる叶えるよ
START!! True dreams/Liella!

 

 そして、こういったあなたへのメッセージはLiella!に限ったものではありません。

 

強くなれ 自分から逃げちゃだめ
強くなれ 焦らずに受け入れて自分を
それが大事なんだ
どんなときもずっと/μ's

信じてあげなよ 自分だけのチカラ
君が君であろうとしてるチカラ
確かめに行かなくちゃ
元気にさあ出発だ!
勇気はどこに?君の胸に!/Aqours

La la la…
その手を伸ばして
La la la…
キミだけの夢へ
夢がここからはじまるよ/虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

 

 そして、始まりを歌う曲だけでなく、走っている最中、走りきった後、色んな場面に寄り添ってくれる歌が沢山存在しています。自分に向けて歌われている、そう意識するだけで、ラブライブ!の歌に対する印象がガラッと変わるはずです。

 

今夜キミに届け!
大切だよってずっと伝えたかった想いを
Shooting Voice!!/Liella!

 

編集後記

 さて、ここからは蛇足みたいなものですが、参考になればと。

 

 ここまで書いておいて言うのも気が引けますが、ラブライブ!を自分の人生と結びつけるか、切り離すか、それは自由だろうな、と。この記事は切り離すのだと確固たる信念を持っている人に向けたものではありません。自分に嘘を付いていないのであれば。ただ、1つ言いたいのは自分も少し前までは切り離すタイプだった、ということです。

 

 自分とラブライブ!を切り離して、一歩引いてキャラクター同士の関係やストーリーについて思いを馳せるのが好きでした。言ってしまえばそこに自分という異物を混ぜ込むのがあまり好きではありませんでした。ラブライブ!は理想の箱庭であり、自分の休息の場であり、スクールアイドルは夢を託す存在である、言語化はせずともそのように考えていました。

 

 でも途中で変えました。その理由はなんてことはなく、ラブライブ!と自分を重ねている人たちに出逢ったから、それだけです。実際にそんなやり方も可能なんだって、勇気をもらえたから。

 

今…
みらい、変えてみたくなったよ!
君のこころは輝いてるかい?/Aqours

叶えてみたくなった
やってみようか やってみようよ
Dancing Heart La-Pa-Pa-Pa!/Liella!

 

 だから、過去の自分と同じ立場の人に届けば良いなと思い、この記事を書きました。

 

 どうせラブライブ!を追いかけて、沢山時間とお金を注ぐのであれば、追いかける中で自分も何かを達成して得るものがあればその方が良い、恥ずかしげもなく言えば「オトク」だと思いました。そんな邪にも思える動機が含まれていても、走るうちに真に走る意味を実感し始めたように思います。

 

向き合えば
きっと分かる 頑張る意味
挑戦しようよ
未来は風のように/Liella!

 

 人生一度きりならやり残したことなどない、そう言いたいものです。自分の見慣れた世界から飛び出すのは怖いことです。僕もそうです。この記事を書きながら葛藤している悩みもあります。それでも走るのはなぜか。

 

 それは、まだ何もやっていないと思うから。千歌ちゃんだってTOKYOでゼロを突きつけられた時、この先走り続けても意味があるのかどうか、そう思ったはずです。でもそこで立ち止まったら分からないまま、夢は消えず呪いとして一生付き纏うから。

 

投げ出したい時こそ 大きく変わる時さ
キセキヒカル/Aqours

手を伸ばせ! それから悩め!
届かない星だとしても/Aqours

 

 そんな不安を抱えながら走っているのがあのスクールアイドルたちなのです。そんな彼女たちだからこそ、スクールアイドルの歌はどこまでも我々に寄り添ってくれる。キラキラした感情を伝えてくれるだけじゃない、不安や葛藤にも寄り添ってくれるのです。

 

勇気をだしてみて
本当はこわいよ
僕だって最初からできたワケじゃないよ
勇気はどこに?君の胸に!/Aqours

人はそんな強くない
誰も怖がりなんだ
弱さを乗り越えてやがて輝く Oh
オードリー/桜坂しずく

 

 最初はキモチだけで大丈夫。カタチから入って良い。とりあえずやる。信じることが大事だと、自分に言い聞かせて。

 

笑わないよ!
キモチだけでもいいんじゃない?
最初はできないことだらけ
Beginner's Sailing/渡辺曜

 

 動き出したくなったら、元気にさあ出発だ。

*1:「君の願いは いつか君の力で叶う日がくるんだ」。LIVE with a smile!、Liella!パートより。

*2:単なる盛り上がるためだけの曲だと思われてはいないだろうか。「”僕ら”だけがわかる合図」に気付いている人がどれだけいたのだろうか。歌の解釈に正解も何も無いとはいえ、周囲の感想を聞きながら頭を悩ませていたりします。